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大槻ケンヂ『いつか春の日のどっかの町へ』

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少し前。ブログ更新したいけど特に書くこともない時に、突発的に発動するコーナーを立ち上げようかと思いあたりを見回したところ、発見したるは本の山!よしきた。本を紹介しちゃるけぇ。

てなもんで『最近買った本を紹介してみよう』という、安直水平思考丸出しのコーナーを発足したわけですが・・・学生時代、読書感想文の類いがそんなに得意じゃなかったことに、遅まきながら気づいたFNM-Designです。みなさまいかがお過ごし?

この戯れ言パートと呼んでいる冒頭部分は、大体本文を書き終わってから書き始めるのですが・・・今回の本文は何とも散文でお恥ずかしい限り。まとまっているんだか、ワタクシの見解をきっちり書ききれているのか、さっぱりこっきり訳ワカメちゃんです。

ですが、時々はこういった趣向のコーナーがあっても良いのでは?てな感じで、とりとめのない駄文を書き連ねてまいりますので、見捨てることなくおつき合いいただければ幸いです(笑)

では、本日紹介するのは大槻ケンヂ著『いつか春の日のどっかの町へ』です。


大槻ケンヂが大好きだ!
読み終わった時、そう実感するには十分すぎる程の本でした。

大槻ケンヂ『いつか春の日のどっかの町へ』

もうね。大槻ケンヂの文章の書き方が好きなんだ!
ノホホンと、ボンヤリと。等身大ながら時々見栄はっちゃうオーケンに笑っちゃう。基本的にそんな感じで書き進めていくのだけれども、その中で時折(一冊に2〜3カ所だろうか)真面目に、真剣に書き進めている部分があって・・・その落差がもの凄く心に突き刺さるんだろうなぁ。この本もそんな感じ。

ぼんやりあらすじを書くとすれば、何年も筋肉少女帯として音楽界に生き続けながら、自身は譜面も読めず楽器も弾けないミュージシャンのオーケン。そんなオーケンが、人とモノとの中間と彼が認識するところの『ギター』を初めて買い、弾き語りのツアーをしていくなかで40代ならではの『生と死』あるいは『生きる価値』という悩みを改めて受け止め、そして受け入れるという物語である。まぁ帯にも書いてあるとおり「笑えて泣ける私小説」である。

まだ30代のワタクシの周りにも、ずいぶんと『死』を認識する機会が増えたように思える。40代であればなおさら多くなっているのだろう。オーケンも、小学生の頃ともに音楽を共有していた同級生の死、あるいは実兄の死を受け『生と死』あるいは自分だけが生きていることの意味を改めて考えている。

だからそのような『死』という経験がたくさんあるような読者には、琴線に触れること間違いない。もちろん、そんな重い話の連続ではなく、基本的にはオーケン何やってんだよ(笑)みたいなドタバタコメディ調で笑える本である。

けれど、ワタクシが心を動かされたのは、オーケンの本によく登場する女性が本書にも登場したからだ。それがなかったら、普通に面白い本で終わってたかもしれない。

ワタクシがオーケンの本を読んだのは、上記の『リンダリンダラバーソール』である。前の前の上司が貸してくれて読んだのだが、この本にコマコという女性が出てくる。その女性と同一人物ではなかろうか?と読めるような女性が出てくるのだ。名前が出てこないから、本当に彼女なのかが分からない。

上司に借りて読んだもんだから、今手元にないのが悔やまれる。
拙い記憶を掘り起こしてみるに彼女は、バンドブームの波に乗って絶頂のオーケンの前からこつ然と姿を消したように思う。だからだろうか、彼女には暗く寂しい印象を持っている。と同時に、オーケンよりも大人で、しっかりと未来を見据えていたようにも思う。強い女性だった。

だからこそ、『リンダリンダラバーソール』を読み終わった後には喪失感が一杯で、恥ずかしながら感情移入し過ぎて、渋谷は246の陸橋の上で彼女の姿を探したくなる程だった。(まぁ職場が中目黒とずいぶん渋谷に近かったせいもある)

そんな彼女と同一視できるような女性が、今作品にも出てくるのだけれども・・・これがかなりのキーパーソンなのである。

彼女の妹という子が出てきて、その子には生まれたばかりの子供がいる。常々彼女に振り回されてきたオーケンなのだけれども、またもや振り回されるのである。

「この子のために『生』の曲を作ってくれ。できれば子守唄が良い」と。

オーケンはその子のために一曲の子守唄を書く。
たくさんの『死』を題材にした曲を書いてきたオーケンが、今度は『生』を題材にした曲を書く。それだけでもなんだか泣けてくるじゃあないですか。

オーケンはその子守唄に、
“絶対の安らかな眠りに・・・いろいろあっても人は最終的にそこに戻ってくる。だから今は安心して眠って、朝がきたら安心して起きれば良いんだよ。それを繰り返せば良いんだよ”
という気持ちを込めた。

この子守唄のコンセプトこそが、オーケンが40代になりたくさんの人の死を受け入れ、乗り越え、達するに至った境地であり、今作品におけるテーマ『生と死』においてオーケンが導き出したの答えなのではないだろうか。

この答えを導くために、過去作の彼女(コマコ)と思われる女性を出してきたことに、ワタクシは感動せざるを得ないのである。

あのバンドブームに翻弄されたオーケンの前からこつ然と姿を消した、芯のしっかりとした子で未来を見据えて姿を消した彼女が、今度は『生』を背負って登場するのだもの。オーケンと別れてからどんな人生を彼女が送ってきたのか気になるじゃあないですか。

しかも!今作品に出てくる彼女は『生』を背負ってくるのだけれども、どうにも暗く寂しい印象は相変わらず持っている。そこは変わらないのだ。(だからこそ、確かにコマコと彼女は同一人物だ!と思うんだけど)それを想像すると泣けてくるじゃないですか。だって、平穏な人生を送っているようには全く思えないんだもの。

『生』を背負ってきおきながら、暗く寂しい印象を持つ彼女。大人ってそういうものなのだろうか?『リンダリンダラバーソール』の中で彼女はこういう言葉を言っている。

“多分、大人になるって、逃げ出せないことと、面と向かい合うことなんだと思う”

彼女(コマコ)は、確かに大人になったんだろうな。逃げ出せないことから面と向かって対峙してきたんだろう。時には負けてボロボロになったかもしれないけど、逃げ出さなかった。だから彼女は『生』を背負ってきおきながら、暗く寂しい印象を持つ女性として、あるいは大人の代表格として、今でも強い女性のまま登場したんだろう。

ワタクシは30代であるが・・・未だそういう境地には至ってはいないなぁ(笑)だからダメなんだろうな。“逃げ出せないことと、面と向かい合う”そういった意思を持って、これからは生きていきたいものである。何故に『リンダリンダラバーソール』を読んだ時に、それをしっかりと心に刻み付けてこなかったんだ!!あ〜〜〜〜〜!!!

という訳で、大槻ケンヂ著『いつか春の日のどっかの町へ』である。

前作の『リンダリンダラバーソール』を読んだことある方には、間違いなくお薦めしたい本ではあるが、読んだことない人にも、ノホホンの中に刺すような感情が隠れている【大槻ケンヂワールド】を楽しんでいただける本だと自信を持って言える。

特にワタクシが力説してしまった彼女が出てくるシーンには、是非とも感情を移入しまくって読んで欲しい。そうするとラストシーンがただの面白シーンではなく、感情を思いっきり揺さぶられるようなシーンへと変貌するから。

オーケンはまえがきに"基本的にはエッセイだが、書いているうちに妄想が膨み私小説になった”と書いている。以前、彼女(コマコ)は存在しないとオーケン自身が語っているから、多分この妄想部分が彼女が出てくる部分なのだろう。
またあとがきには、ラストシーンのどこかをオーケンは手直ししたことにより、この本を“妄想と虚構が現実をすっぽりと包み込み、私小説と呼ぶべき物語と化してるなと感じました”と思うに至ったようである。

どこを手直ししたのかはワタクシなんぞには分からない。でも、そのせいか何故か彼女が出てくる部分だけは、色鮮やかで匂いすらする感じがするのだ。あくまでワタクシの個人的私感なのだが。他の部分は白黒というかふんわりパステルなのに、彼女が出てくるシーンだけ鋭利でビビッドな感じがして、読んでいるうちに突き刺してくるんだよなぁ。妄想と虚構が現実を包み込んだ結果なのか、オーケン?

事実ではなく妄想の部分に鋭利な感じを抱くのも変な感じだが、もしこの感じを共有できる人がいるのなら、是非とも呑みにいきましょう(笑)そしてオーケンワールドを語り合おうじゃないですか!

てな感じで。大槻ケンヂの『いつか春の日のどっかの町へ』でした。
もしこの記事が、あなたがこの本を手にする一助になったのなら嬉しいなぁ!


追伸:

奇しくもこの本を読んでいる最中に、会社を辞めてから疎遠になってしまった『リンダリンダラバーソール』を貸してくれた上司から連絡があった。会社を辞めて早6年程。会社という同じ枠の中では話せなかったような話をたくさんしたいと思う。ついでに『リンダリンダラバーソール』をもう一度貸してもらおう。

 


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