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製作過程
1.イメージ製作

スケッチブックでイメージ出し
持ちたいデザインや付けたい機能を具現化できるよう、スケッチブックにイメージイラストをチマチマ描きつつ最適解を模索していきます。
今回はiPhoneケース製作を元に、ざっくりと製作過程を紹介していきたいと思います!
わがままなご意見は大歓迎!アレもコレもとこだわりポイントをできるだけ入れつつ、技術面や料金面での折り合いをつけつつ、お気に入りの1作を作っていきましょう!
2.型紙製作

雲形定規やコンパスなどを用いて、元となる型紙を製作いたします。
1.で導き出した最適解のデザインを元に、型紙を製作していきます。
パソコンで製図ソフトを用いて線を引くこともできますが、手書きの方が書いている最中に不具合を見つけやすいので、わたくしは手書きで線を引くことが多いです。(慣れの問題かも知れませんけどねw)
あと、プリントアウトして型紙に貼って切り出す。という工程がなくなるのもメリット。のり付けで歪んだりしますし、切っていく際に剥がれたりもしますし・・・。なんだかんだと手書きのメリットの方が多い気がしますね。
3.荒裁ち

ざっくりと荒断ちします
革に型紙を当て、ザックリとした大きさで切り出します。この時には型紙をトレースせず革の表面(革用語では銀面)には傷をつけません。
何故かと言うと・・・この次の工程で革が伸びるので、型紙の大きさで印をつけたはずが、少し伸びてしまい型紙の大きさでは無くなってしまうからです。これは一大事!
この後に、各パーツに合わせた革の厚みに漉く工程もあったりします。今回はしませんが(笑)
4.床面処理

革の裏面のケバケバを押さえるために、薬品を使用して整えていきます。
革の裏面(革用語では床面)のケバケバを押さえるために、薬剤を塗りガラス板などで擦っていきます。この処理をするとケバケバが収まり、ツルツルになります。
もちろん、全面接着して床面が見えない部分などは、この作業を省略する場合もありますよ。
そのケバケバの味を生かして、そのまま使用する場合もあります。ケースバイケースで選んでいきましょう!
5.型紙トレース

型紙をあててトレースします。
型紙を革に当てトレース(革用語では罫書き)します。
先の尖った鉄筆や目打ち、銀ペンと呼ばれるインクの出るペンを用いて印をつけていきます。ヌメ革など硬い革には鉄筆を使い、クロムなめし革や柔らかい革だのには銀ペン・・・と、用途に応じて使い分けますね。
この時、革の繊維の向きを考慮に入れないと、曲げにくかったり伸びたりしてしまうので、結構神経を使います。
6.本裁ち

キンキンに研いだ革包丁を使って裁断します。
5.で引いたトレースラインに沿って、できるだけ垂直に切り出します。
「できるだけ垂直」に切り出す理由は、この後の裁断面を整えまっすぐにする作業があり、この段階で垂直に切り出しておけばその作業が楽に済むから。
とはいえ、直線ならまだ垂直に切りやすいのですが、曲線などまだまだ修行の必要なところもありますので、そういう時はコーナー抜きという専用の道具を使ったりします。
革の世界には「革包丁至上主義」のような風潮がありますが、簡単に綺麗にできるのなら私は率先して道具を使用します!楽だもん(笑)
7.革の端を薄く漉く

革漉き機を使って革の端を薄くします。
切り出したパーツを縫う際に、革より耐久の弱い糸を表面に浮き出ないように裏面を加工します。(表に出ない箇所はやらないです)
革の端から5mm程を少しだけ薄くします。そこに床面から水分を入れて銀面から押し付けます。そうすると銀面から糸が一段低くなりますので、使用時に糸が擦れることを軽減できます。
8.穴あけ

ディバイダーと菱キリを用いて縫い穴を開けます。
手縫いで縫製するための穴を開けていきます。
ディバイダーという等間隔で印をつけれる道具と、菱キリという菱型の穴をあけれる道具を使って、ひと穴ひと穴開けていきます。
当然4穴10穴いっぺんに開けれる道具も存在しますが、その道具を使用すると必要以上に大きな穴が開いてしまい、せっかく強度の強い革を使っているのに破ける原因になるので使いません。
9.接着

接着剤を使って革同士を接着します。
パーツを貼り合わせます。今回はサイビノール(皆様に馴染みがある類似品は木工ボンド)を主に使用して、革同士を貼り合わせていきます。
折り曲がる箇所などは、曲げた際にシワになりづらいようにあらかじめ曲げて接着します。少しサイビノールの弱点として曲げに弱いという点があるので、今後はゴム糊を試してみようかと思っております。
10.縫製

丁寧に手縫いしていきます。
ナイロン製の糸(ビニモMBT)を用いて縫っていきます。
ミシン縫いに比べ時間はかかりますが、糸がほつれにくいのが特徴でこだわりポイントです。
あまり装飾をゴテゴテさせないので、この縫い目が唯一の装飾と言っても過言ではありません。綺麗に縫い目が揃うように細心の注意を払って縫い進めます。
ちなみに表面(革用語では銀面)は斜めステッチ、裏面(革用語では床面)は直線ステッチになります。が、裏表逆のステッチがいい!とか、両面斜めのステッチがいい!などのご要望にも応えます。その分お値段いただくかもしれませんが。
11.コバ磨き

裁断面をピカピカに磨いていきます。
革の断面(コバ)を綺麗に整え、ピカピカに光った断面に仕上げます。
何枚も革を重ねているのに、まるで一枚の革かのような断面にすることが最大の目標!そのためにはヤスリを500番〜2000番くらいまでかけ、気に入らなければまた繰り返す・・・と、こだわり始めたら1~2時間はかかってしまう時間泥棒ポイント。
もちろんピカピカにではなく、マットな感じに仕上げることも可能です。その分お値段いただ(以下略)
12.完成

こんな手順を経て商品が完成します。
といった工程を経て、一つの作品が完成致します。
が、革製品というものはここで完成ではありません!みなさまが手に持ち、使い込んでいく中で徐々に革が変化していきます!
使い込んでいくうちにドンドン色が濃くなり、ツヤツヤしていく革を使用していますので、その成長をご自身の手で仕上げていく楽しみを、存分に味わってください!